淡路技建株式会社淡路技建株式会社

② 住宅・施設の床工法を比較する

一口に床と言っても建物の用途によって目的や必要な性能は様々です。ここでは様々な床構造を例に出して特徴を説明します。

乾式遮音二重床 プレフロアー

乾式遮音二重床プレフロアー

根太工法を集合住宅に転用する過程で発展して生まれた汎用性の高い工法です。集合住宅はコンクリートスラブに段差が作られるため、様々な金属ボルトの長さを用いて床下空間を作ることで湿気や冷気から距離を保ち床下に配管を回すことができます。また、上下階の騒音問題を低減、歩行感を良くするよう防振ゴムなどの工夫がされています。仕上げ材もフローリング、CFシート、タイルなど多種多様な施工が可能であるため、店舗や文教・老健介護施設、エアロビクスフロアとしても使われています。ネジ付き金属ボルトによる高さ調整で、施工後すぐ人間が載ることが可能なので湿式工法に対して水を使用しないことから乾式工法と言われます。

発泡プラスチック系床下地工法

発泡プラスチック系床下地工法

集合住宅の床下地工法の一つです。厚みのある発泡ポリスチレン・発泡スチロールなどにフローリングを釘止めできるよう小根太を等間隔に取り付け、コンクリートスラブ上にモルタル団子を等間隔に置き、パネルで押し潰すことで床の高さの調整を行う工法です。断熱性能に富みますが低く作ることしかできず、モルタル団子が乾燥硬化するまで数日間、人間がパネル上に載ることができない欠点があります。モルタルに水を混ぜるので湿式工法と言われます。

直貼りフロアー

直貼りフロアー

集合住宅や戸建て住宅に用いられる裏面にクッション材が貼り付けられ基材にスリットが細かく刻まれた仕上げ材です。コンクリートスラブや戸建て住宅の根太レス工法のように平らな下地に接着剤で施工されます。集合住宅の高さを低く抑えるために、床下空間を無くし、床下構造にかかる費用を省略しています。水平調整機能がないためコンクリートスラブの傾斜がそのまま仕上げ面に現れます。また、クッション材が薄いため、フカフカした足裏感覚や転倒時にはコンクリートの硬さや冷気・湿気が直に居住者に伝わります。接着剤でスラブに貼り付けるためリフォームの解体時にはクッション材がスラブに残ってしまい、コンクリート表面の修正に手間が掛かる欠点があります。

この他の代表的な床工法

OAフロアー

OAフロアー

オフィスビルに用いられる金属製パネルや窯業系パネルをネジで調整アジャスターに取り付け、配線移動のために後々パネルを取り外して床下を覗けるように作られた床です。仕上材は600×600mm程度のカーペットタイルを敷き詰めます。土足での使用を前提としているので、遮音性はカーペットタイルに依存、歩行感は靴に依存します。配線を隠す程度の高さ想定のため200mm以上の調整ボルトが用意されていません。※メーカーにより、最高床高さには差があります。

根太工法

根太工法

古くからの戸建て住宅の床構造です。地面から450mm程度「床」を上げることで湿気や冷気から距離を保ち、床下の通風空間により木材の腐食を防ぐなど日本人の知恵が詰まった工法です。日本人が畳の上に布団を敷いて寝られるのはこの浮かす構造だったからこそ可能となったとも言えます。

根太レス工法

根太レス工法

大引の上に24mm厚の合板を施工することで、根太を省略した工法です。現在の戸建て住宅の主流の工法となっています。根太工法と同様に地面から450mm程度「床」を上げることで湿気や冷気から距離を保ち、床下の通風空間により木材の腐食を防ぐなどの効果があります。

鋼製床下地

鋼製床下地

「体育館用鋼製床下地構成材 JIS A6519」に基づいて作られている床下地材で、体育館・柔道場・剣道場を作る際に金属製の根太、大引きの鉄板の厚みからメッキの種類まで明確に決められた床です。体育館は床下点検口から人間が入れるよう設計されるため床下空間を低く作る想定にはなっていません。